わたしはもうちょっとで入院する。
そんな深刻なものではないが、
そのため先日、自己血というのを取りに行った。
手術で万が一のために輸血用の血をとっておくらしい。
あらかじめ、ふらふらになる人もいるので、自分で運転してこないようにと。
それで、わたしは「血液銀行」というのを思い出す。
すごい字面。昔の人はあっさりしている。
今だったらなんやかんやいう人が絶対いると思う。
去年くらいにNHKのドラマであった山田孝之主演の
オリンピック建設現場で作業している人が
昔の東京オリンピック建設現場にタイムスリップする話。
そこでは、戦後間もない東京はまだ貧困と成長がおり混ざった時期で
みんなオリンピックを心待ちにするというよりその日の生活にいっぱいという感じだった。
今と同じ。状況は違うが、やりたい人は今も昔も同じである。
そこで、貧しい人は自分の血液をその血液銀行で売っていた。
売った人が家でふらふらになって寝ていて、そのうち死んでしまったかはうる覚えだけど
そんな銀行があったことに衝撃を受けた。
それで、自分のためではあるが血液をそういう感じで抜くという、
ふらふらになるという言葉に
「血液銀行」がちらつく。
なんだか憂鬱だったけど、血を抜くのは簡単だった。
それより、補液を点滴する針が入らなくて、とにかくいい血管が見つからないらしく
看護婦さんが二人変わって、ごめんねという、
そしてわたしもいい血管がなくてすいませんという。そこが一番手こずった。
右手から血を抜かれ、左手から補わられるという面白い構図。
そして、入院の準備はちょっと旅行に似ている。
持っていくリストを書いている。
今回はコロナのために売店が閉まっているらしい。
そしてもちろん面会もない。
本を二冊入れといた。
Comments